*テレビ東京「完成!ドリームハウス」2015.10.放映
*dezeen, archtecturephoto.net
都心に近い住宅密集地。
戸建住宅やアパートなどが建て込んだ昔ながらの風情が残るなか、
間口約4M・面積約13坪の狭小敷地に建つ、木造3階建て住宅。
限られた敷地のなか、意味ある使える生活空間を最大限確保するため、
建物全体の大枠を許容建蔽率(60%)の床を3層積んだ180%分のボリュームとして設定した上で、
その中で、許容容積率(160%)を超過する分(20%)の床を吹抜にしたり、屋根付きポーチに(外部化)した。
最大限確保した延床面積に加え、
更に空間の「伸びしろ」と周辺環境との間の「ゆとり」を獲得することを狙った。
見通し・風通しの良い開放的な骨格を得るため、
構造上必要とされる耐力壁を重ねたり連続させたりして、見え掛り上の枚数を減らした。
また、階段を建物中央に配置し廊下の不要なプランとしたが、
その階段が邪魔な存在とならないように、
居室の床が螺旋階段にそのまま連続しスキップする設えとした。
前面道路以外の三方を隣家に囲まれた中、天窓と吹抜をワンセットで活用した。
周囲の建物越しに屋上に降り注いだ自然光は、天窓から建物内に取り込まれ、
直下の吹抜けを介して更にその下階へ届けられる。
また、吹抜け部分の7mの天井高さとその直上部の天窓により、重力換気が促される。
以上の空間操作を経て実現された住宅は、
天井高さや光の取り入れ方などそれぞれニュアンスの異なる空間と、
それらを柔らかくつなぐ「居場所」感を備える階段が、
一種独特のバリアフリー感とシークエンスを感じさせるインテリアとなった。
住空間内の行き来が、
住まい手の日常生活に一種のリズムのようなものをもたらすことを目指した。