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下丸子の住宅

住宅密集地、ほとんど歩行者しか通行しない路地に面した16坪の敷地に建つ、建坪9.9坪の狭小住宅。

ちょっと過剰気味の凹凸や、アチラコチラに向いた窓、一見トマソンな吹抜、
螺旋運動が強調された階段、・・・大きくジャンプするときに一瞬屈んで力を溜めるように、ギュッとコンパクトだったり色々と接近していたり。。。

さしずめ空間の柔軟体操とでも言うようなこれらの「動き」、四方八方への「伸び」が生活に活気とリズムを与えてくれるのではないかと期待しています。

限られた面積のなか、生活空間を最大限確保するため、道路や北側からかかってくる高さ制限を躱した最大限の建物ボリュームを設定。
その中で、異なる天井高さの部屋を縦積みにし、鉄骨螺旋階段でダイレクトに連結することにより、廊下の全くない有効率の高いプランを実現。

1階には、サーフボード収納を備えた玄関ホール、寝室、子供部屋、浴室。
2階に、家族の滞在時間の長いLDKを、天窓から自然光が降り注ぐ広々としたワンルームとして計画。
中間階には、約9畳の広さのロフトを設け、家の「収納力」を高めるとともに、「隠れ家」的な書斎を確保しました。

螺旋階段のまわりに、タテ方向の吹抜とヨコ方向の空間の抜けと、それぞれその延長線上に設えた開口。
階段の螺旋運動が、空間に動きを与え、様々な方向の視線・光と結びついた多彩なシークエンスを生み出すことにより、住まい手の生活に活気とリズムを与えることを狙いました。

建物のファサードは、若干凸凹の激しい入り組んだ形をしているが、
これは、屋根・軒・庇・手摺・壁のそれぞれ異なる方向の直線の重なりによりかたちづくられる姿が、建物の前面路地を行き交う人の位置に応じて、異なって形状に見えるようにデザインすることにより、「街に対する表情」「ヒューマンスケールへの応答」のようなものを作り出すことを意図したものです。
The site that has only the area of approximately 55 square meters sits in the downtown dwelling area of the small city block in Tokyo.

The narrow site is facing the small alley that people only go through almost.

We tried to get much more living space effectively in the small building, by putting circulation spaces less as much as possible.

In the whole volume of the small building, the internal spaces that have the different ceiling heights were stacked vertically, and were linked by spiral stair directly without a corridor.

The most important family living area including kitchen and dining space was placed on the upper part of the building, resulting to getting openness thanks to enough ceiling height and thanks to natural light from high windows.

In the lower part of the building, bed room, play room, sanitary space and storage were placed. And in order to be able to live comfortably among the limited area we tried to create fluidity of the internal space by providing void in horizontal and vertical direction around the spiral stair, and by providing openings in many directions.

Between the upper and the lower part, the loft space finished by lauan plywood and exposed wood frames was installed also being linked by the spiral stair directly.
The active and joyful atmosphere is brought, by the various vista in response to dweller's position around the void.

The roof of the building was built to be settled in a slanted line limited in height regulation of The Building Standard Law .
The facade formed by lines of the roof, eave, railings, eaves ceiling and wall made in different angles was designed to look various different shapes in response to pedestrian's position.
所在地 :東京都大田区
用  途:個人住宅(夫婦)
規模・構造:地上2階・木造
敷地面積:54.89㎡/16.6坪
建築面積:32.8㎡/9.92坪
延床面積:63.0㎡/19.05坪
竣  工:2012年3月
構造設計:平岡建築構造研究所

Review

施主からの声
自身の家を建てる際、当設計事務所に依頼しました。

コチラと契約させていただくまでに、某ハウスメーカー、地元の工務店などに色々と相談したり、
実際に設計書を作成していただいたりもしたのですが、担当者、成果物、共に自分には合わずモヤモヤしてました。。

そうこうしているうちに数ヶ月経ち、家づくり自体を諦めようかと考えていたときに、
住宅プロデュースを行っている会社に当設計事務所を紹介していただきました。

初顔合わせから、とにかく色々と対話した記憶があります。
家に関することは当然ながら、特に私の趣味やファッションなどライフスタイルに関する質問が多く、
私の事を色んな側面から知ろうとしてくれているという印象でした。

また、その場でサラっと書いてくれるラフ絵が、これまで他社に何十回と書いてもらった設計書よりも遥かに魅力的なもので、とても驚かされました。

やはり狭小住宅に強い事務所ですので、私が家づくりで気になっているネガティブポイントへの対策はお手の物で、
その上でドラスティックなデザインをどんどん提案してくれるので、そのスピード感と発想力は他社を遥かに凌駕している印象でした。

実際に着工してからもその印象は変わらず、雑談中に「あ、その案良いですね~」から、実際に仕様変更に入るまでがとにかく早い。
工務店とネゴも現場でサクサクやってくれるのでとても頼り甲斐がありました。

竣工してから6年になりますが、未だに思うのが「なぜこんな狭い土地にこの家が建つんだろう」ということ。
もちろん散々ミーティングして、デザインは納得した上で建てた家ですが、なぜか私が想像していた家より広いんです笑
限られたスペースに最大限の広さを【作る】技術と、広く【見せる】技術が成すデザインなのだと感じました。
竣工時から家族が一人増えましたが、特に手狭になった印象もありません。

家の中で、特に私が気に入ってるのが1Fと2Fの間にあるフリースペース。
2Fのリビングとは正反対の、少々薄暗く、低ーい天井が、籠って作業する際にピッタリ。集中力発揮できます。

そしてこの家の主役とも言える螺旋階段。鉄製の構造物は、何とも男心を魅了します。
帰宅時、2Fの吹き抜けに顔を出した娘に「ただいま~」なんてコミュニケーション取れるのも螺旋階段の魅力の一つですね。

外観も大満足。
黒壁にすることは当初から決めていましたが、改めてトリッキーなデザインとよく調和していると感じます。
密集した住宅街にポツンと黒くてヘンな形の家。遠くから見たときの「気持ちいい違和感」は本当に飽きないです。

コンセント、照明、窓の位置など、細かい改善点は挙げたらキリないですが、それは次回家づくりの際に解消していこうと考えています。

当然、次回もコチラの事務所に依頼させていただくつもりです。

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